蒼い情熱が導く、あなたの極上な愛に酔いしれたら

インタビューが終わると、次は白無垢と紋付袴での撮影。

場所は澤井屋屋上の日本庭園。
シンボルとなる池には錦鯉が泳ぎ、庭石や草木が配され、四季を感じる事が出来る。


「白無垢姿も美しいです」


蓮さんからまた賛辞の言葉が贈られる。
沢山の美辞麗句を浴びる度に、偽りの存在であることを忘れてしまいそうになる。

何を着ても似合うのは蓮さん。

私はこんなにも本当に胸を甘く高鳴らせてしまうのにー…


白無垢の次は色打掛。
曙色の生地に鶴や牡丹が描かれた美しい色打掛。


「サントリーニ島での太陽を思い出しますね。サンセットの頃に出逢って、また昇る時刻までに過ごした時間が懐かしい」


と、耳打ちされる。

一言、一言、蓮さんから言葉が発せられる度に私は吸い寄せられてしまう。

一線を引かなきゃいけない。
でも、偽りの関係だと見破られてはいけない。
だけど、本当に愛してしまうのは怖い。

だってこれは契約に基づいた幸せなのだから。





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