蒼い情熱が導く、あなたの極上な愛に酔いしれたら
Ⅲ.蒼い夢の記憶

新しい洋服や鞄を買い込んで、美容室にも行って、眼鏡は外しコンタクトにして、何時もの私とは違う私の姿で飛行機に乗った。

行き先は、ギリシャのアテネから飛行機で約一時間の、エーゲ海に浮かぶ小さな島、サントリーニ。

断崖に建ち並ぶ白壁の家々と際立つブルードーム。

真っ青な海と空を前に、何時もと違う装いの自分にチャレンジしてみる。

学生の頃得意だった英語と数日間で叩きこんだ辿々しいギリシャ語を使いながら、ガイドブックをお供に誰も私を知らない場所を楽しむ。

でも、ふと周りを見ると、カップルが自然と瞳についてしまう。

島に滞在出来る最後の夜。

何時の間にか、青と白の街並みはオレンジに染まりはじめていて、

こんなに美しい瞬間を私も特別な誰かと過ごせたら…って思ってしまう。

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