蒼い情熱が導く、あなたの極上な愛に酔いしれたら
でも、今まで彼氏の“か”の字さえ縁がなかった自分だもの。
贅沢は言わずに、せめて美味しい物を食べて気持ちを満たそう。
そんな思いで、街の西側にあるレストランに辿り着きサンセットを見つめていた。
そんな時だった。
ふと、隣の席に着いた男性が目に入った。
艶やかな黒髪をしたポロシャツにジーンズ姿の男性。
サングラスをしているけれども、端麗な顔立ちが分かる。
現地の人には見えない。
旅行者…?
私と同じ一人旅…な訳はないよね。
こんなにも纏う雰囲気だけでも素敵な人だもの…
ああ、せめて、サングラスに隠れた姿も見れたら…
と、
サンセットから隣に座る彼に瞳が奪われてしまっていた瞬間、
「…っ!」
こっちを見た彼と瞳が合ってしまった。
やだ…
勝手に見つめて、気持ちのワルい女だなって思われたらどうしよう…
瞳を逸らさなきゃ…
そう思うのだけど、視線が動いてくれない。
と、
「Καλησπέρα」
男性が私を見て言った。