年上幼馴染の一途な執着愛
「日向、ダメだよ、事故るよ」


そう注意すれば一度は手を離してハンドルを持つものの、またすぐに私の手を取る。
何度繰り返しても同じようになってしまうのは無意識なのか、わざとなのか。
でも、手を繋ぐだけで嬉しそうに微笑んでいる日向を見たら、私も嬉しくなってしまう。


「日向、それで事故ったら許さないからね」

「それは無理。集中します」


楽しくドライブデートをしたいから、安全運転でお願いしたい。
途中でサービスエリアにより、パンやおにぎり、唐揚げに串焼きにスイーツなど、買いすぎじゃない?ってくらいにいろいろなものを買った。


「ん! 日向、これおいしいよ!」

「まじ? 一口ちょーだい」

「いーよ、はい」


車に戻ってハラミの串を日向と分け合いながらまた出発。
あっという間に地元に辿り着いた。


「日向も今日うちに泊まる?」

「あぁ。おばさんにそう言われてるから甘えようかと」

「……お母さん、抜かりないな」

「"ユウちゃんと一緒に帰省するんだろうからもちろん泊まるでしょ?"って決定事項で笑ったよ」

「なんかごめん」

「いや? 俺はそっちのがありがたいし、ラッキーだと思ってるから」

「もう……」

「ほら、そろそろ着くぞ」


日向の言葉通り、実家の屋根が見えてきて口角が上がる。
お正月に帰省してから数ヶ月しか経っていないけれど、この数ヶ月間が濃すぎたためなんだか久しぶりのような気がしてしまう。
車をおりてトランクから荷物を出して、


「ただいまー」


と玄関を開けた。
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