年上幼馴染の一途な執着愛
お酒が抜けたのかどうかも怪しい。だけど頭は至極冷静だ。二日酔いになっていないだけマシだろうか。
だけどさっき鏡で見たら、目の下にくっきりとクマができてしまっていた。
こんな顔で日向の前に出れなくて、コンシーラーで必死にクマを隠してからリビングに来た。
しかし起きているのはお母さんとお父さんだけで、お兄ちゃんも日向もまだ起きていないようだ。
なんとなく、なんとなくだけどホッとしてしまう。


「お母さん、手伝うよ」

「あら、ありがとう。じゃあお雑煮にそろそろお餅入れてくれる?」

「ん。わかった」


何か作業をしていないと、昨夜のことを思い出してしまいそうで落ち着かない。
お母さんからおたまを受け取り、お雑煮のお鍋を温める。

お母さんはその間におせちの準備をしているようだ。
ダイニングの上には色鮮やかなお正月のお料理が並び、見ているだけでお腹が鳴りそう。
そんなタイミングで、


「おはよー」
「……おはようございまーす」


お兄ちゃんと日向が起きてきたようだった。

寝起きの掠れたような日向の声に、私はあからさまに意識してしまい一瞬固まった。


「二人ともおはよう。あけましておめでとう」

「あけおめー」
「おめでとーございまーす」

「今ユウちゃんがお雑煮お椀に入れてくれるからね。星夜はお餅何個?」

「俺一個」

「日向くんは?」

「俺は二個で」

「はーい。ユウちゃん、お母さんトイレ行ってくるからお願いできる? お父さんとお母さんの分はお餅一つずつで」

「うん、わかった」


お母さんがトイレに行くのを横目に、お椀を用意してからお鍋にお餅を入れた。
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