年上幼馴染の一途な執着愛
「悪かったって。謝るから許して、な?」

「……次あんなとこでしたら怒るから」

「はい。肝に銘じます」


さっきのキスのことをまだ根に持っている私に、日向は謝りながらもどこか嬉しそう。
私のヘアメイクが終わったらそのまま一緒に式場に向かうため、日向もスーツに着替えて綺麗にヘアセットをしていた。
運転中だけに見られる眼鏡姿も相まって、一段とかっこよくて見惚れてしまう。


「ん? 何か変?」

「ううん。かっこいいなって思っただけ」

「またそうやって、俺が手出せない時に限ってそういうこと言う」


悔しそうな声に思わず笑う。

美容室に着いて車から降りる時も、振袖が着崩れないように日向はわざわざ助手席まで回ってきてくれて手を引いて降ろしてくれた。
そんな紳士的な振る舞いも似合ってしまう日向に、今日何度目かもわからないくらいに胸が高鳴る。
そんな些細なこと一つ一つで、日向に対する"好き"が日に日に膨らんでいくように感じていた。


「じゃあ、俺一旦離れるけど、戻ってきたらここで待ってるから。行っておいで」

「ありがとう。終わったら連絡するね」

「あぁ」


日向に手を振り一度別れ、私は美容室へ入る。
その間に日向は一度私の実家に戻り、お父さんとお母さんを式場まで送ってくれるようだ。
昨夜ハンドルキーパー役を自ら買って出てくれたらしく、両親もありがたいと喜んでいた。
せっかくの親友の結婚式なのにお酒を飲まないのか聞いてみたら、


"酒飲むことが祝いのメインじゃないしな。夕姫のこと送りたいし。それに星夜だろ? 飲もうと思えばいつでも飲めるからいいんだよ。星夜にも言ってあるし"


そう、なんてことないように言ってのけていた。
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