年上幼馴染の一途な執着愛
「どうしたの? 二次会は?」

「んなのどうでもいい。つーかそもそもちょっと顔出したらすぐ抜けるつもりだった」

「なんで……」

「なんでって、夕姫と一緒にいたかったから。それに連絡取れなくなったら心配するに決まってんだろ。おばさんに聞いたら悪酔いしたらしくて帰ったって言うし。何回電話しても出てくれないから倒れてるんじゃないかと思って心配で」


その言葉に鞄の中のスマホを見ると、驚くほどの着信履歴と日向からのメッセージが来ていた。


"夕姫、大丈夫か?"

"電話出れないなら返事だけでも送って"

"今どこにいる? 家着いたのか?"

"夕姫、頼むから返事してくれ"


そのどれもが私を心配する言葉で、日向と画面を見比べた。


「……ごめん、全然気付かなかった」

「ん。夕姫が無事ならそれでいいよ。それより、体調大丈夫か?」

「うん……」


日向は私の隣に座り、ふわりと抱きしめてくれる。

嬉しいのに、さっきの光景が思い出されてしまい私は手を回すことができない。


「……夕姫、何か誤解してるだろ」

「え?」

「今日、トイレの前で会った時のこと」


まさか日向からその話題を出してくるとは思っていなかった。
日向を見上げると、困ったように私の頬を撫でる。


「もしかしたら話も聞いてた?」

「……ううん。あ、でも、和歌さんが元カノだってのは聞こえちゃった……」

「そうか。それでその後あんなとこ見ちゃったから、そんなに落ち込んでんだな?」

「……」


図星で何も言い返せない。
日向はそんな私の頭を撫でてから、もう一度抱きしめてくれた。
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