年上幼馴染の一途な執着愛
「……でも私、こういうことするのが、こんなに幸せなことなんだって今まで知らなかった」

「え? でも元彼とだってしてただろ?」

「……そりゃそうだけど……でも、今思うと日向みたいに優しくなかったから。そもそも、こういうことにこんなに時間かけたこともないし……こんな大事にしてもらったことすらないもん」

「え……」

「今までは……なんかこう……向こうの性欲処理のための行為だったっていうか……無理矢理口でさせられたりとか、ベッド入ってすぐに挿れられたりとか。だから痛いことも多くて、気持ちいいとか思うこともそんなになかった。イッたこともない。あんまり大切にされてるっていう実感がなかったの」

「夕姫……」


今思うと、元彼が私のことを浮気相手と言った理由がわかる。
だって、私は彼に全く大切にされていなかった。
身体を重ねたことはもちろん何回もある。
だけど、彼との行為は日向のように優しくもなくて、甘くもなくて。
ただ、彼の欲を吐き出されただけに等しかった。
当時はそれが普通なのかなって思ってた。

だけど、日向を知ってしまったらそれは違うとわかる。
正しく私は、元彼にとっては浮気相手でしかなかったんだ。

人と比べるなんて最低だって、自分でも思ってる。

だけど、あまりにも日向が私を大切にしてくれるから。
壊れ物を扱うかのように、宝物のように、優しく丁寧に触れてくれるから。
愛おしいという気持ちを全身で表してくれるから。
自分がじゃなくて、一緒に気持ち良くなろうとしてくれるから。

これは、お互いがお互いを求めて尊重して愛し合う行為。

そんなの、わかってたはずなのに。
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