年上幼馴染の一途な執着愛
「結婚ってなるとタイミングも難しいんだよ。式挙げようにもお互い仕事で忙しいし」
お兄ちゃんは地元の高校で教師をしていて、彼女さんは小学校で同じく教師をしている。
お兄ちゃんは部活の顧問もやっているからあまり休みは取れないし、2人とも毎日遅くまで学校に残って仕事してるのを知ってる。
なおのこと早く結婚しちゃえばいいのに。そう思うけれど、私たち家族にはわからないタイミングというものがあるようだ。
そんな話を聞きながらお汁粉を食べていると、
「ユウは仕事どうだ。大変か」
ずっと黙って食事をしていたお父さんがふいに私に話を振ってきた。
「私?んー……私もぼちぼちかな」
「真似すんな」
「いいじゃん別に。……でも最近大きな案件がとれたらしくて、営業の方は忙しそうだよ。私はいつも通りって感じ」
「そうか、これからも頑張りなさい」
「うん。ありがと」
私は都内にある玩具メーカーの中小企業に勤めている。その中の総務部に所属しており、主な仕事はデータ入力などの事務作業。
だけどたまに営業の社員について取引先に向かったり、人員不足の部署に派遣されたりといわゆる何でも屋みたいな部署で働いている。
忙しいけれど、人間関係にも恵まれており毎日が充実していて楽しく仕事ができているのは幸いだと思う。
お互いの近況を報告し合っているうちに食べ終わり、私はお母さんをソファに座らせて食器を洗う。
洗剤を流していると、ふいにお兄ちゃんが隣に並んだ。
「……どうしたの?」
「食器洗い終わったら一緒に初詣行かないか?」
「初詣?」
「うん。日向と三人で」
「いい、けど……」
「じゃあ決まり。俺も手伝うからとっとと終わらせちゃおうぜ」
「ありがと……」
お兄ちゃんはまだ洗っていない食器をスポンジで洗い始め、私はそれを受け取り泡を流す。
途中で日向もやってきて、
「俺は皿拭いてから棚にしまえばいいか?」
と言って布巾でお皿を拭いて食器棚に入れてくれた。
そういえば小さい頃もこうやって三人でお手伝いしたなあ……なんて思って、懐かしくてほっこりする。
三人でやると本当にあっという間に食器洗いが終わり、私たちは初詣に行く準備のためにそれぞれ部屋に戻った。