年上幼馴染の一途な執着愛
「……日向?」

「……無理して笑うな。泣きたかったら泣いていいんだよ」

「泣きたくなんか……」

「嘘つけ。お前は笑ってるつもりかもしれねぇけど、泣くの我慢してるのバレバレなんだよ。俺には嘘つくな」


こんなとこ、誰かに見られたらどうしようとか、なんでこんなに日向が優しいのかとか。
私のことわかりすぎててなんか怖いとか。
頭の中でいろんな感情がぐるぐる回っているけれど。


「なん、で……我慢してるのバレてんの……そんな優しくされたら、泣いちゃうじゃん……」

「何年一緒にいると思ってんだ。こーんなチビだった頃から知ってんだ。お前のことならなんでもわかる」

「チビって言わないでよ……ほんっと……日向のばかぁ……」


私の背中に回る手。
コートの上からでもわかる、その温かさ。
日向の言葉と声が優しくて、じわりと滲んだ涙が次第に溢れ出す。
ポロポロとこぼれ落ちていく雫は、日向のグレーのコートを黒く染めていく。


「ハッ、馬鹿上等だよ」


あんなやつのことで、泣きたくないのに。

弱いところなんて、誰にも見せたくないのに。


「お前のこと一人で泣かすくらいなら、いくらでも馬鹿になってやる」


どうして、日向はそんなに優しいの。

どうして、日向の前では私は弱くなってしまうのだろうか。

そのまましばらく日向の胸を借りて、泣き続けていた。
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