年上幼馴染の一途な執着愛
「え?」

「クソ男のこと、忘れられた?」

「あ……」


言われて、今の今まで日向のことで頭がいっぱいになっていたと気がつく。


「……うん。なんか、少し忘れたかも」

「そうか。よかった」


日向はそのまま寄り添うように私の肩を引き寄せると黙ってしまい、私も口を閉ざす。
しかし、ふとあることに気がついて日向を見上げた。


「ねぇ」

「ん?」

「……お兄ちゃんには言わないでね」


よく考えたら、日向はお兄ちゃんに対してものすごく口が軽い。
昔から二人でなんでも相談し合っているのを知っている。
まさか言うわけないと思うけど、今日のことはお兄ちゃんにだけは知られたくない……!
家族にそんな話されるの、さすがに無理すぎる。
どうにか口止めしたいけれど、そんな私に日向はにやっと笑った。


「何を?」

「何をって……その、日向と私が……」

「俺と夕姫が? なに?」

「その……ああもうっ! わかってるくせに言わせないでよ!」

「ははっ、悪い、ついつい夕姫の反応が可愛くて」


なんだか、昨日から日向がやけに甘い気がする。からかわれてるのがわかるからムカつくけど、可愛いって言われるのは慣れてなくて胸焼けしてしまいそうだ。
< 34 / 154 >

この作品をシェア

pagetop