年上幼馴染の一途な執着愛
「その、可愛いとかも調子狂うからやめて……」

「なんで? いいじゃん。可愛いんだから」

「今まで私にそんなこと言ったことなかったじゃん! なんか日向からストレートにそんなこと言われると慣れてなくて……その、照れるから……」


だんだんと語尾が小さくなり、恥ずかしさにマフラーに顔を隠すように埋める。

すると、


「……今のはずるくないか?」

「え? 何が?」

「はぁー……」

「なに?」


日向はなぜかため息をついてしまい、困惑する。
ずるいって何が?そう聞きたいけど、日向は一人で納得したように小さく笑っている。
そして私の方を向いて、


「まぁいいや。俺は元々星夜に言うつもりは無かったよ。だけどそこまで言うなら、黙ってる代わりにまた俺と会ってくれるか?」


と微笑んだ。


「それは……うん。いいけど……」


日向と気まずくなるのは嫌だから、それはありがたい申し出。お兄ちゃんに黙っててくれるなら断る理由なんてない。
でも普段は日向は関西だし、私は都内だ。
会うにしたって遠いから難しい気もする。

だけど、


「じゃあ決まりな」


そう嬉しそうに笑う日向を見たら、何も言えなかった。


家に帰ると、お兄ちゃんがいつのまにか帰ってきていたみたいで、


「お前らどこで何してたんだ? 遅くね?」


と不思議そうに見られたけど、


「暇だったから俺ん家でゲームしてた」


と日向が適当にはぐらかしてくれてその場を乗り切った。


「……じゃあ」

「あぁ」


そう言ってそれぞれ部屋に戻ると、私はまず布団の中に潜り込む。
何も考えたくないのに、うまく眠ることはできなくて。
一人でいると何かしら考えてしまう。

結局、晩ご飯で呼ばれるまで眠ることはできなかった。

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