年上幼馴染の一途な執着愛
「あら、星夜と日向くんはあれだけ食べたのにまたつまみ食いかしら? ユウちゃんの分無くなっちゃうからほどほどにね。お酒なら冷蔵庫から自分で出してよー」

「わかってるよ」

「いただきまーす」


二人に釘を刺すお母さんとだるそうに返事する二人に笑いながらも、私は席に座り食べ始める。
隣には当たり前のように日向が座り、向かいにはビールを三缶持ったお兄ちゃんが座り、私にもキンキンに冷えたビールを渡してくれた。


「どうせなら三人で乾杯しよう。ユウもいるの珍しいし」

「ありがと」

「夕姫、お前ビール飲めたっけ?」

「うん。最近飲めるようになったよ」

「そうか」


かんぱーい、と声を合わせてからビールを飲む。喉を通るその冷たさをごくりと飲み込んでから、そのおいしさにため息のような空気が漏れた。


「にしても、ここんとこ毎年帰ってこなかったのに急にどうした? あの束縛彼氏と喧嘩でもしたか?」


お兄ちゃんの声に、私は肩を跳ねさせる。

……束縛彼氏、ね。

帰ってくれば必然的にそのことについて聞かれるのはわかっていたけれど、正直今はキツい質問だった。


「振られた」

「え?」

「……別れたの。だから帰ってきた。傷心中だからその辺はそっとしといて」


お兄ちゃんと日向が言葉を失ったのがわかり、心配をかけまいとへらりと笑ってみせる。


「ちょっと、黙らないでよ。お兄ちゃんの言う通り束縛激しかったから、別れてすっきりしてるんだから」


明らかに嘘だとわかる私の言葉に、お兄ちゃんは困ったように


「……そうか」


と頷く。
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