年上幼馴染の一途な執着愛
「なんか……日向のスーツ姿、見慣れない」

「そうか? あぁ、夕姫の前で着たことなかったっけ」

「うん。初めて見た」


ピシッとしたスーツ姿は、今まで私が見てきた日向のイメージとはだいぶかけ離れている。
珍しく髪の毛もセットされていて、爽やかな色気を纏っている気がする。
いつもの日向もかっこいいとは思うけど、スーツ姿だと三割り増しくらいで良く見えるな……。


「それを言うなら俺も夕姫の仕事着見たの初めてかも」

「そうかな。私のはオフィスカジュアルだからそんなに変わらないとは思うけど」

「うん。でもなんか、新鮮だな」


嬉しそうに笑う日向に、私も思わず笑う。


「今日はどこに行くの?」

「イタリアン。夕姫好きだろ」

「うん」

「ほら、行くぞ」


向かったのは駅向こうに少し歩いたところにあるイタリアンのお店。
カフェのようにおしゃれな雰囲気で、女性客やカップルが多いようだ。


「会社の近くにこんなおしゃれなお店があるなんて知らなかった」

「俺も。こっちにいる友達に聞いて教えてもらったんだ」

「そうだったんだ。わざわざありがとう」


私はパスタ、日向はドリアを注文して料理が来るのを待つ。
その間、仕事のことやお兄ちゃんのことなど、他愛無い話で盛り上がる。
料理が来て、その美味しさに顔を綻ばせていると


「そうだ、夕姫に言おうと思ってたことがあるんだ」


と日向が話を切り出した。
< 44 / 154 >

この作品をシェア

pagetop