年上幼馴染の一途な執着愛
「そういえば秋野さんは予定あったんだよね。本当ごめん」

「いえ、気にしないでください。浅井さんこそ、飲み会行かないんですか?」

「まぁ、そんなに急がなくても顔出すくらいなら間に合うでしょ」

「はは、そうですね」

「うん。エントランスまで一緒に行こうか」

「はい」


荷物を持った浅井さんが私を待ってくれていて、その隣に並ぶ。
エレベーターを待っている間、ふと思い出したように


「予定って、あの彼氏さん?」


と聞いてきた。
"あの"という言葉に棘を感じてしまって思わず笑う。
私が思っている以上に、色んな人に"束縛彼氏"だと認識されていたようだ。


「あぁ……彼とは結構前に別れてて。今日は幼馴染と食事に行くことになってるんです」

「え、別れたの?」

「はい。色々あって」

「そう、だったんだ。大変だったんだね」


浅井さんはそう言いながらもなんだか嬉しそうに見える。
それを横目に不思議に思いながらも、エレベーターに乗ってから早足でエントランスまで向かった。
< 54 / 154 >

この作品をシェア

pagetop