年上幼馴染の一途な執着愛
『え、ユウちゃん、帰省するつもり?』

『え、ダメですか?』

『ダメってわけじゃないけど……え、俺と一緒に年越したくないの?』

『そういうわけじゃないけど……でも、両親にも帰るって言っちゃったし新幹線のチケットも取っちゃったので……』


その日からしばらく信明くんは口を聞いてくれなくて、結局帰省はしたけれど気が気じゃなかった。

都内に戻ってからは会ってくれたけれどやっぱりしばらく不機嫌で。


『来年からは勝手に帰省すんなよ。俺、年末年始もユウちゃんと一緒に過ごしたいし』


不貞腐れたような言い方が、当時の私には可愛らしく見えた。
それ以来、私は年末年始やお盆には帰省せず、ほんの少し時期をずらして数日間だけ帰省していた。

それすらも嫌な顔をされたことと、就職してからは私の仕事も忙しくなったこともあり、さらに帰るのが難しくなってしまった。
そのため、ここしばらくの間は全く帰省できていなかった。

その他にも私の行動を制限するような言動が多々あったけれど、好きだったから平気だった。
友達にはドン引きされたこともあったけど、私は愛されてるんだなと思えたから平気だった。

結婚の話も出て、全部順調だと思ってた。

それなのに、二股をかけられていた。


それに気がついたのは、友達に教えてもらったからだ。


『ずっと言えなくて。でも、ユウが傷付くの黙って見てられなくて。ごめんね。私、見たの。ユウの彼氏さんが他の女の人とデートしてるとこ』

『何かの間違いかと思った。ただの知り合いとか、仕事関係の人とか。でも、彼氏さん、その女の人とホテル入って行って……』

それを聞いて、私の頭は真っ白になった。

ちょうどその日は、信明くんが私の家に来る予定の日で。
仕事終わりにやってきた信明くんからは、知らないシャンプーの香りがした。

黙っていられなくて、私はそれを問い詰めた。
< 7 / 154 >

この作品をシェア

pagetop