年上幼馴染の一途な執着愛
「……はい、しました」


二回も、とは流石に言えないけれど嘘をつけずに頷くと、真山さんは


「やることやってて秋野さんもそれだけ意識してて。嫌じゃないなら断る理由なんてないんじゃない?」


とやはりあっさりしている。


「まぁ、昔から知ってるからこそ急にそんな関係になってどんな顔したらいいかとか、どんな風に関わっていけばいいかとか、振られたらもう幼馴染には戻れないとか、そんなことが気になってるんだろうとは思うけど」

「そう、だと思います」


真山さんの言う通りだ。
私はただ、怖いんだ。

"そんな男のことなんて忘れさせてやる"

その言葉に頷いてキスをして、その先もして。
嫌じゃなかった。むしろ求めてしまった。
だけど、それだけでも今までと何かが変わったようで漠然とした不安があった。
幼馴染っていう関係でいるのと、恋人になるのとでは全然違う。
今まで通りになんかいかない。

もし、付き合ってみてうまくいかなかったら?
日向に限ってそんなことはないと思うけど、また二股かけられたら?
また浮気相手だって言われたら?
そうじゃなくても、万が一別れるなんてことになったら?

そうなったらもう、小さい時からの幼馴染には戻れない。
今更、もう一人のお兄ちゃんだなんて思えない。
そんなことが、不安で仕方ないんだ。
怖くてたまらないんだ。
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