年上幼馴染の一途な執着愛
「まぁ、前の男が酷かったから、付き合うことに後ろ向きになるのもわかるけど。……でも、私は話を聞く限りなら、その人は秋野さんのことすごく大切にしてくれそうだなって思うよ」

「そう、ですか?」

「うん。だって、秋野さんのことを何年も一途に思い続けてたってことでしょ?」

「……らしいです」


私は全く気が付いていなかったけれど。


「一途でかっこよくて優しくて甘やかしてくれて、昔から知ってるから変に取り繕う必要もない。素を出せて弱音を吐ける相手って、そうそういないよ?」


それはそうだ。


「思い切り泣ける場所って、案外少ないんだよ」

「そう、ですよね」

「それを無条件に受け止めてくれる人も、滅多にいないの」


日向は私にとって、素をさらけ出せて弱音を吐くことができて、心から甘えることができる相手。
本当の兄妹ではないからこそ、なんでも吐き出せる相手。
その存在が、どれだけ私にとって大切なものか。
そしてどれだけ恵まれているのか。考えたこともなかった。


「そんな完璧な人、ウダウダして待たせてたらすぐ誰かに持ってかれるよ?いいの?」

「え……」

「当たり前でしょ。昔からモテてたって言ってたじゃん。そんな男、世の女が放っておくと思う?」

「……思いません」


昔は女の子を取っ替え引っ替えしていた。
だけど、ある時からきっぱりと辞めたように誰とも付き合わなくなった。
だけど、これで私が断れば、真山さんの言う通り世の女性が放っておかないのは明白だ。
< 73 / 154 >

この作品をシェア

pagetop