年上幼馴染の一途な執着愛
『ねぇ、今日別の女の人とホテル入ったって本当……?』

『は? 何それ』

『私の友達が、見たって言ってて……今もシャンプーの匂いしてるけど、それ、信明くんがいつも使ってるやつじゃないよね……?』


すると、


『あー……うっざ』


心底面倒臭そうなその台詞に、私は吐き気を催した。


『そういうのマジでうざいからやめたほうがいいよ? あぁ、浮気? してるよ。つーか、お前が浮気相手だから。俺にとっては向こうが本命』

『だって、結婚の話……』

『そう言っておけばお前なんでも言うこと聞くじゃん。顔可愛いし何かと都合よかったし体の相性良かったし、……なんか中毒性? があって、手放したくなかっただけ。でももう萎えた。俺面倒なやつ嫌いだからもうお前いらね。さよなら』


そう言って、彼は私の前から去っていった。

……そしてそれが、つい二日前のことだったのだ。




思い出して、ため息が溢れる。

日向の言う通り、飲んで食べて忘れてしまおう。
そう思ってビールをぐいっと煽る。
酔いが回ってきているのが自分でもわかる。
このお酒が抜ける頃に私の頭の中から信明くんのこともすっぽり抜けてくれればいいのに、なんて馬鹿なことを考えてしまう。


「……私って、馬鹿だな」


あんな惨めな思いをしたのに。
あんな男でも好きだったなんて。本当、馬鹿。


ビールを煽りながら落ち込んでいると、不意に自室のドアをノックする音が聞こえた。


「……はい」


ドアを開けると、


「……起きてた?」

「うん」


そこには日向の姿があった。
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