年上幼馴染の一途な執着愛
「あれ、秋野さんもコーヒー?」

「はい」

「じゃあついでに淹れるよ、待ってて」

「すみません、ありがとうございます」


マグカップを渡すと、淹れたてのおいしそうなコーヒーが注がれた。


「この間の幼馴染って、男の人だったんだね」

「あぁ、はい。兄の親友なんです」

「そうなんだ。彼とは付き合ってるの?」

「え? あ……いや、付き合ってはいない……です」


結局まだ返事もできてないし。
早く会って言いたいのに。
そう思って首を横に振ると、浅井さんが私に向き直る。


「ふーん……じゃあ、まだ俺にも付け入る隙はあるよね? 秋野さんのこと口説いてもいい?」

「……え?」

「俺、結構前から秋野さんのこと、いいなって思ってたんだよね」


驚きすぎて、渡されたマグカップを落としそうになった。
浅井さんが、私のことを?
何かの間違いじゃなくて?


「え……えっと、え?」

「ははっ、動揺しすぎでしょ」

「だって、浅井さんが私のこと……え?」

「俺、どうでもいい子をわざわざ家まで送ったりしないよ」

「……」

「風邪引いてるからって、営業終わりに飲み物買って家まで届けるとか、普段なら絶対しない」

「それって……」


浅井さんは私の耳元に顔を近づける。


「今までもそれなりにアピールしてきたつもりなんだけどなあ……。秋野さん、鈍感すぎない? さすがに鈍すぎてイライラしてきたんだけど」


そして、私が硬直しているのをいいことに頬に手を添えた。
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