年上幼馴染の一途な執着愛
「どうしたの?」

「いや。なんか眠れなくて。起きてるなら一緒に年越ししようって誘いに来た」


その手には私と同じビールがあり、考えることは同じかと思って笑う。


「いいよ。私も眠れなかったからちょうど良かった。おつまみもあるしここで一緒に飲みながら年越ししよ」

「あぁ」


スウェット姿の日向を招き入れて、ベッドに案内して小型テレビのスイッチをつける。


「お兄ちゃんは?」

「もう寝たよ。あいつ昔っから夜弱いよな」

「健全に寝ちゃうタイプだからね。寝てる間に年越してるタイプ」

「小学生の時から何も成長してねぇ」

「ははっ、そうかも」


そんな話をしながら日向の隣に座り、改めて乾杯をする。
テレビからはアイドルが歌う声が聞こえてきて、キラキラした世界が眩しく見えた。


「もうすぐ年明けるね」

「あぁ。来年はどんな年にしたい?」

「来年かあ……そうだなあ……今度こそ、私を幸せにしてくれる人に出会いたいな」


そうこぼして、急に正気に戻ったように恥ずかしくなってしまい、


「なんてね」


と笑って誤魔化す。

しかし、日向は私のことなんてお見通しのように


「いいじゃん。恋愛成就の年ってことだろ」


そう笑ってくれる。


「でも、イタくない? この歳でこんなこと言ってるなんて」

「そうか? 皆言わないだけで腹ん中では同じように思ってんじゃねーの?」

「……そう、かな」

「大体の人は幸せになりたい、幸せにしてくれる人に出会いたいって思ってると思うよ。……お前みたいに恋人と別れたばっかりのやつは特にな」


そういうものなのかな。
わからないけれど、日向がそう言うのならそうなのかもしれないと思える。
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