可愛げがないと捨てられた天才魔導具師は隣国でのんびり気ままな工房生活を送ることにしました!~念願の第二の人生、思う存分ものづくりライフ!~
3.風光る新天地へ
暗い坑道を突き進んでいくと、その先に明るい光が見えてきた。
「あ、そろそろ出口ね!」
最後の魔晶石を壁に埋め込むと、ルシアは光に向かって駆け出していく。
ニィもそれについていく。
カーバンクルも追いかけてきて、スルリとルシアの肩に乗っかった。フワフワの大きな尻尾が、ルシアの顔をくすぐった。
暗くつらかった今までの生活を経て、新天地での明るい生活を暗示しているかのようだ。
出口の先に広がっていたのは、のどかな村だった。
明るく澄んだ空気に、花の香りが混じっている。光り輝く春風がルシアの頬を優しく撫でた。
小鳥が愛を歌いあい、羊が草を食む。