可愛げがないと捨てられた天才魔導具師は隣国でのんびり気ままな工房生活を送ることにしました!~念願の第二の人生、思う存分ものづくりライフ!~
自室に戻り、鏡の前に立つ。
連日押しつけられている仕事のせいで、目の下にはクマがはり、肌も荒れている。
爪は作業のせいで傷ついて、体には仕事で使う松脂の匂いもしみついている。
継母から与えられたドレスは、彼女が若いときに着ていたという時代遅れで悪趣味な物だ。
ルシアは小さくため息をついた。
(贅沢はいえないわ。うちは貧乏だし。ミゼルだってお継母様のおさがりを着るんだもの)
「さぁ、準備をしましょう! さっさと婚約破棄されてこなくっちゃね」
ルシアはむりやり明るい声を出し、気分を盛り上げる。