可愛げがないと捨てられた天才魔導具師は隣国でのんびり気ままな工房生活を送ることにしました!~念願の第二の人生、思う存分ものづくりライフ!~

(自分では決心できなかのに。カイルのおかげだわ。カイルはいつもふざけたように見せかけて、私のことを考えてくれるのよね……)

 ルシアの傷ついた心に、カイルの優しさがしみこんでくる。

(カイルと一緒だったら、ヒベルヌス王国での嫌なことなんか全部忘れて、きっと、楽しく暮らしていける)

 ルシアはそう思ったが、まだその感情がなんであるか、彼女自身にはわからなかった。

「さて、おふたりさん、イチャイチャは終わったかい?」

 店主に問われて、ルシアはハッとする。

「あっ、すみません。お会計を――」

 慌てて靴を履き、椅子から立ちある。

「荷物は名入れが終わったら、まとめて届けるでいいかい?」

「はい! お願いします」

 洋品店で買い物をすませ、ふたりは外へ出た。
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