可愛げがないと捨てられた天才魔導具師は隣国でのんびり気ままな工房生活を送ることにしました!~念願の第二の人生、思う存分ものづくりライフ!~
「あら、アンタ、まだいたの? 相変わらず松脂臭いわね」
ローサは鼻をつまんで続ける。
「アンタが遅いから、ミゼルはレモラ様と一緒に先に行ったわよ。ふたりが並びたつとまるで物語の王子様とお姫様のようだったわ。あのふたりはお似合いよね?」
嘲るようにローサが言う。
ルシアはニッコリと微笑んだ。
「私もそう思います、お継母様」
嫉妬の欠片も見えない姿のルシアに、ローサは舌打ちをした。
「そうそう、うちの馬車は壊れていてつかえないのよ。気をつけていってらっしゃい、ルシア」
ローサは笑顔でそう言うと、ルシアを玄関先に押し出してドアを閉めた。