可愛げがないと捨てられた天才魔導具師は隣国でのんびり気ままな工房生活を送ることにしました!~念願の第二の人生、思う存分ものづくりライフ!~
工房の看板を作ったのは、ファクト子爵である。
ファクト子爵は、魔導具作りが得意なだけあって手先が器用だ。こういったものもそつなくこなす。
素朴なブナの木の板に、『ルシアの魔導具工房』と彫られている。村の景観に溶け込んだ看板だ。
カーバンクルの絵も彫られていて、カーバンクルの額には同じ赤い石が埋め込まれていた。
一見普通の木の看板に見えるのだが、ファクト子爵の作った物だ。
看板の下には、現在のお店の状況が、焼き印風の文字で表示されるようになっている。
今は『開店中』、閉じれば『閉店』、混み合っていることや、休業予定の案内などもできるようにしてくれた。
「お父様、ありがとう!」
ルシアが礼を言うと、ファクト子爵はルシアの頭をクシャクシャと撫でまわした。