可愛げがないと捨てられた天才魔導具師は隣国でのんびり気ままな工房生活を送ることにしました!~念願の第二の人生、思う存分ものづくりライフ!~
万屋の店主に続いて、お客さんが続々と店に入ってくる。
シグラ王国では魔導具がヒベルヌス王国ほど発展していない。僻地のプラオット村ではまだ物珍しいのだ。
ルシアは大きなガラス容器に蛇口をつけた給水器から、紅茶をコップに注ぎ、店に来た人々に手渡していく。
「こちらをどうぞ!」
「ああ、ありがとう。ちょうど喉が渇いてた」
「熱いから気をつけてくださいね!」
ルシアから紅茶を手渡され、万屋の店主は礼をいい、すぐさま口に運ぶ。
「っあっち!! なんだ、これ、熱々じゃないか!」
驚いたようにルシアを見る。
「大丈夫ですか? だから熱いって言ったのに……」
「いやいや、あんなものの中に入っていた紅茶だ。熱いとは思わないだろう!?」
万屋の店主は、気まずそうに笑った。