可愛げがないと捨てられた天才魔導具師は隣国でのんびり気ままな工房生活を送ることにしました!~念願の第二の人生、思う存分ものづくりライフ!~
「あなたは、この箱が盗品である可能性を視野に入れ、開けられるにもかかわらず最後の引出しの存在を伝えなかった。引出しを開けるごとに、宝が出てきたにもかかわらず、最後の引出しを開けるという欲に打ち勝った」
「それは、呪いがあったから……」
「呪いが見破れたこともすごいし、わかっていても欲深い者は取り出そうとするものだ。なにも知らない者を犠牲にしてもいいのだから」
顎髭の生えた男はそう言うと、ちらりと後ろの男たちを見た。男たちはギクリとした顔で、顔を引きつらせる。
顎髭の生えた男はそれを見て小さく笑い、箱をひっくり返し、黄金を取り出した。
いままで取り出したコインとひとまとめにし、ルシアに手渡す。
「あの?」
「これは、ここまでの報酬だ」
そういうと、男は眼鏡の男に箱を渡した。