可愛げがないと捨てられた天才魔導具師は隣国でのんびり気ままな工房生活を送ることにしました!~念願の第二の人生、思う存分ものづくりライフ!~
翌日、ことの顛末を聞いたカイルは眉を顰めた。
ルシアがみせてくれたカードをマジマジと眺める。
「……第一王子」
「でも、宮廷なんてこりごりよ。私は自由に生きたいんだから」
ルシアはカイルが持ってきた手土産のクッキーを食べながら答える。
カイルはその答えに安心しつつ、少しだけ困る。
(ルシアが第一王子の誘いを断ったのは嬉しいけど、兄上が本気でルシアを欲しがったらどうしよう)
今のカイルは宮廷での発言権がそれほどない。
カイル自身がそれを望まなかったからだ。不毛な権力争いに巻き込まれたくなかった。魔導具の研究だけをして、生きていければいいと思っていた。
(このままじゃダメかもしれない……)
カイルは思う。