可愛げがないと捨てられた天才魔導具師は隣国でのんびり気ままな工房生活を送ることにしました!~念願の第二の人生、思う存分ものづくりライフ!~
カイルは苦笑いをした。
「カイルも助けてくれるでしょ? 心配しなくても、困ったら助けを呼ぶわ」
ルシアが言って、カイルはハッとした。
ルシアに頼りにされている、それだけでカイルは嬉しいのだ。
(やっぱり僕は、ルシアを守れる力がほしい。そのためには一度王宮に戻り、ルシアが僕の庇護下にあることをしっかり証書にしておこう)
カイルの迷いは吹っ切れた。
王子であることは告げられない。でも、ルシアを守るためにできることはしておきたいのだ。
「うん。そうだね。いつでも頼って」
たった一言、ルシアのその一言で、カイルの表情は明るくなる。
カイルの顔が笑顔になって、ルシアもつられるように笑った。