可愛げがないと捨てられた天才魔導具師は隣国でのんびり気ままな工房生活を送ることにしました!~念願の第二の人生、思う存分ものづくりライフ!~
ジューレ侯爵は息子を苦々しく睨んでから、これ見よがしにため息をついた。
「いいかげんにしろ、レモラ。子供の頃のように地下へ入れられたいのか?」
ジューレ侯爵は小さく囁いた。
レモラはその一言にブルリと震える。幼い頃の父の仕打ちを思い出したのだ。ジューレ侯爵は躾と言って暴力を振るうことはないが、かわりに地下のお仕置き部屋に閉じ込めるのだ。
(最近は叱られることがなくなっていたから忘れていたが、父上は厳しいお方だ。あの陰気な地下室に閉じ込められるのは嫌だ)
レモラは顔を青ざめさせ、おとなしく俯いた。
「愚息のためにお時間をこれ以上いただくわけにはまいりません。このことは屋敷に戻って指導いたします」
そうジューレ侯爵が頭を下げると、周囲の高位貴族たちはヤレヤレと頭を振った。