可愛げがないと捨てられた天才魔導具師は隣国でのんびり気ままな工房生活を送ることにしました!~念願の第二の人生、思う存分ものづくりライフ!~

 相手はやっと手に入れた侯爵子息の婚約者だ。黙っていれば、将来ミゼルは侯爵夫人になれるのだ。

(ここでレモラ様に捨てられたら、しがない子爵家の継子に逆戻りよ)

 ミゼルはそう思い我慢する。

「じゃ、よろしくな。俺は少し用事がある」

「なんの用事ですか? 今日はミゼルとお茶を楽しむって」

「ああ、だから、それは今終わっただろ? 応接室に客人がやってくる予定なんだ。なにやら、相談があるそうで」

 レモラはまんざらではない顔で笑う。

 ミゼルはピンときた。

 レモラがルシアと婚約破棄をしてから、レモラに言い寄ってきている男爵令嬢がいるのだ。
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