可愛げがないと捨てられた天才魔導具師は隣国でのんびり気ままな工房生活を送ることにしました!~念願の第二の人生、思う存分ものづくりライフ!~
「まさか、男爵令嬢ですか?」
「ん? ああ」
「男女がふたりきりで会うなんておかしいです!!」
「向こうも侍女を連れてくるし、俺も侍従を連れていく。君は侯爵家で婚約者教育を受けている身だ。ドンと構えて、嫉妬などするなよ」
レモラは軽く笑うと部屋を出ていってしまった。
残されたのは、甘ったるいミルクティーの香りと、食べ尽くされたモンブラン。
ミゼルは押しつけられた魔導具の入力タイプライターを、力任せにテーブルへ打ち付けた。
(レモラ様の馬鹿!!)
ルシアがいる頃は、欲しくてたまらなかったレモラだが、今は魅力が半減して見える。
自分の管理もできず、だらしない。自分のことは棚に上げ、人に平気で説教をする。自己中心で他責思考だ。