可愛げがないと捨てられた天才魔導具師は隣国でのんびり気ままな工房生活を送ることにしました!~念願の第二の人生、思う存分ものづくりライフ!~
(こんな人だと思わなかった……)
ミゼルは唇を噛みしめた。
ルシアと一緒にいた頃のレモラは魅力的だった。サラサラとした髪は銀糸のように煌めいて、仕事も勉強もでき、周囲から頼りにされていた。だから、自分のものにしたいと思った。
姉と言うだけで、レモラの婚約者になったルシアがズルイと思った。
(それに、レモラ様だけはわかってくれたの。お継姉様と比較されるつらさを……)
ミゼルは、レモラに慰められたのだ。ルシアと比較され卑下される哀(かな)しみを共有できる唯一の人だった。
タイプライターに涙が一粒落ちる。