可愛げがないと捨てられた天才魔導具師は隣国でのんびり気ままな工房生活を送ることにしました!~念願の第二の人生、思う存分ものづくりライフ!~
ヒベルヌス王国の人々は、ルシアが隣国へ行ってしまったことを嘆き悲しんだ。
そして、その話はヒベルヌス王の耳にも入った。療養中だと聞いていた天才魔導具師が、隣国で暮らしているというではないか。国王は不快を露わにした。
婚約破棄によって貴重な人材に国外へ逃げられてしまったことについて、ジューレ侯爵家は責任を問われたのだ。
そこで、慌ててルシアを呼び戻そうと、彼女を捨てた領地までやってきたのだ。ここが、ルシアが住むと噂の村に一番近い関所があるからだった。
レモラは立ちあると、持っていた工具をボダ山へ投げた。魔晶石に工具がぶつかり、石が割れる。
しかし、レモラは気付かない。
ウキウキとした様子で、レモラはその場を離れた。
人気のないボダ山からブスブスと煙が立ちある。魔晶石と魔晶石の魔力が反応し合い、自然発火が起こったのだ。
暮れなずむ夕日の中、不穏な煙は静かに空へ昇っていった。