可愛げがないと捨てられた天才魔導具師は隣国でのんびり気ままな工房生活を送ることにしました!~念願の第二の人生、思う存分ものづくりライフ!~
メイド長は大きくため息をついた。メイド長は六十代の女性だ。若い頃からこのカントリーハウスで使えており、ジューレ侯爵家の先代も、現当主もよく知っている。
だからこそ、こんな男が次期当主かと思うと、ガッカリとする。
学園に入学し期待できる跡継ぎになったと聞いていた。しかし、実際に領地での姿を見ると、ただのぼんくらである。
「起きてくださいまし! お坊ちゃま!!」
「……うるさいぞ」
「火事でございます! 山火事でございます!! このままでは焼け死んでしまいますよ!!」
メイド長が声をはり上げると、レモラは布団をはねのけた。