可愛げがないと捨てられた天才魔導具師は隣国でのんびり気ままな工房生活を送ることにしました!~念願の第二の人生、思う存分ものづくりライフ!~
「っ! チ!! だから田舎は嫌なんだ!! 王都へ帰ったら父上にクビにしてもらうからな!! 覚えてろよ!!」
レモラはそうわめくが、メイド長はもう振り返らなかった。
「生意気な女め!! 少しばかり仕事ができると、女はすぐに増長する!!」
レモラはルシアを思い出し、吐き捨てた。
ひとり取り残された廊下から窓の外を見る。
山が赤く燃えている。風が渦を巻き、炎がマグマのように押し寄せてくる。
レモラはそのおぞましさに、体中が震え上がった。
そして、なけなしの記憶をたどり、屋敷から逃げ出した。
自分のすべき責務をすべて放棄して。