可愛げがないと捨てられた天才魔導具師は隣国でのんびり気ままな工房生活を送ることにしました!~念願の第二の人生、思う存分ものづくりライフ!~
<あんなクソ男、別れればいい。好きでもないくせに>
「たぶん、今日のパーティーで婚約破棄されるわよ。継妹とふたりでコソコソなにかしているみたいだったもの。こうやって、私を足止めしてるのがなによりの証拠だわ」
ルシアは今、父の再婚相手の継母ローサと、彼女の連れ子であるミゼルと暮らしている。
しかも、ミゼルはルシアのものをなんでも欲しがる癖がある。ミゼルが「お継姉様だけズルイ」と駄々をこねれば、「姉なんだから我慢しなさい」とローサが答え、ふたりですべてを奪っていってしまうのだ。
(きっと、婚約の件も同じだわ)
ルシアは達観していた。もう、慣れっこだったからだ。
<わかっていて行くのか?>
「断れないからしかたがないわ。見世物になるのは嫌なんだけど、別れられるならそれでいいかなって」
ルシアは肩をすくめた。