可愛げがないと捨てられた天才魔導具師は隣国でのんびり気ままな工房生活を送ることにしました!~念願の第二の人生、思う存分ものづくりライフ!~
9.ウルカヌスの花火が咲く夜に
夜明け前、ルシアたちはファクト子爵家へ戻ってきた。
黒い夜が明けはじめ、空は紫色に変わりはじめた。
「え……、ここへ戻ってきた大丈夫なんですか?」
ルシアがオズオズと尋ねると、ファクト子爵は優しげに頷いた。
門を開けると、出迎えてくれたのは昔懐かしい執事である。しかし、彼は二年ほど前に解雇されたはずだった。
ほかにも解雇されたはずの使用人がズラリと並んで待っている。
ルシアは呆気にとられた。