可愛げがないと捨てられた天才魔導具師は隣国でのんびり気ままな工房生活を送ることにしました!~念願の第二の人生、思う存分ものづくりライフ!~
「気にしないで、お父様。私は大丈夫だから」
ファクト子爵は目尻に涙をため、両手を開いた。
「ルシア、ハグをしてもいいかい?」
「ええ、お父様!」
ルシアはその胸に飛びこんだ。
しみついた松脂の香りが、ツンと鼻の奥をくすぐる。ローサの嫌った匂いだったが、ルシアには懐かしく心地良い香りだ。
ギュッと父に抱きしめられ、ルシアは安堵のため息をついた。