可愛げがないと捨てられた天才魔導具師は隣国でのんびり気ままな工房生活を送ることにしました!~念願の第二の人生、思う存分ものづくりライフ!~
「ルシア、もうここは安心だ。君を傷付ける者はいないよ。だから、家に戻っておいで」
ファクト子爵はルシアの頭に顔を埋め、優しく言った。
カイルはそれを聞き、ギュッと胸が痛くなる。ルシアのことを考えれば、生まれ育った国で親の庇護のもと、貴族の娘として生きたほうが幸せだろう。逃げなければならない理由がなくなった今、魔導具の技術が遅れたシグラ王国に留まる理由などないのだ。
ルシアはバッと顔を上げた。
ファクト子爵の顎にルシアの頭がぶつかる。
「ブフッ!」
ファクト子爵が呻くと、ルシアは慌てて謝った。