可愛げがないと捨てられた天才魔導具師は隣国でのんびり気ままな工房生活を送ることにしました!~念願の第二の人生、思う存分ものづくりライフ!~

 カイルも立ち上がり、ルシアの肩を抱きながら頭を下げた。

「ありがとうございます」

 ファクト子爵は涙でグシャグシャになった顔で、カイルに頭を下げた。

「ルシアを……娘を……よろしく……頼み……ますぅぅ……」

 ファクト子爵の万感の叫びが響いた。

 ウルカヌスが笑い、もう一度指を突き立てる。

 明けの明星が残る早天(そうてん)に、もう一度花火が咲き乱れる。

 ルシアとカイルは肩を寄せ合って、空を見上げた。

 新しい未来の幕開けを祝うような花火だった。

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