可愛げがないと捨てられた天才魔導具師は隣国でのんびり気ままな工房生活を送ることにしました!~念願の第二の人生、思う存分ものづくりライフ!~

<なんたる……>

 ウルカヌスはため息をついた。

<だったらなおさら、あのバカより良い男と遊ぶべきだ。どうせ婚約破棄なんだからな>

 ウルカヌスは憤慨したように言う。

「ウルちゃんたら、あんまり悪いことそそのかさないで」

 ルシアは笑った。

 そのとき、ルシアの足元に小さな男の子が現れた。

 見た目は五歳くらいに見えるが、ルシアより年上だ。いたずら心を隠し持った瞳は、アーモンドのようだ。あちこちに跳ねた短い髪に、茶色いキャスケットを被せてある。茶色のサロペットの裾はクルクルと折ってあった。

 彼は、屋敷妖精(ブラウニー)のニィだ。ルシアがまだ舌足らずの頃、ブラウニーと呼べなくてニィと呼んでいたのが定着したのだ。
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