可愛げがないと捨てられた天才魔導具師は隣国でのんびり気ままな工房生活を送ることにしました!~念願の第二の人生、思う存分ものづくりライフ!~
 ガタゴトと荒れた道を馬車は進んでいく。しばらくして、小さな村が見えてきた。掘り出した魔晶石を加工する村だ。

 この村は、ヒベルヌス王国最大の魔晶石の産地なのだ。もともとは鉄鉱山だったのだが、魔晶石が発見され、今では魔晶石の鉱山となっている。

 この鉱山を持つが故に、ジューレ侯爵家の権勢は安定しているともいえた。とはいえ、最近では魔晶石の産出も下り坂らしい。

 村には、作業用の掘っ立て小屋が建っていた。

 作業する人々のあいだにドワーフが交じって働いている。

 魔晶石は原石のままだと不純物が多いので、不純物を取り除き、松脂を使って正八面体に磨きあげるのだ。

 その技術は、ドワーフが一番上手いのだが、ドワーフが人に力を貸すことは少ない。

「すごい! ドワーフはなかなか人に協力しないって聞いてるのに、ジューレ侯爵家では上手く交渉したのね!」

 ルシアは目を見張った。
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