【完結】養ってやるかぁ!!公園で出逢った無職男子が……まさかまさかの、そのまさか!?

告白


 二人でおにぎりを前に、手を合わせる。

「いただきます」

「いただきます」

 はむっと頬張った。
 もう二度と食べられないと思ったおにぎり。

「うん……美味しい」

「はい、最高ですね。このふりかけ」

「ふりかけも美味しいけど、ふっくらほっこりして……本当に美味しいのよ、始くんのおにぎり」

「そうですか、良かった」
 
 何もかも変わってしまっても、この味は変わらない。
 そして、始の笑顔も変わらない。
 御曹司だとわかっても、私が養ってやる! と決めた男の顔と変わらない。

「わ……私……」

「ゆ、雪子さん」

 ポロポロと涙をこぼす雪子に、始は慌てる。

「始くん……私……」

「はい」

「私……貴方が……好き……よ」

 言えなかった想い。

言ってはダメだと封印していた……本心。

 でも今言わなければと想い、伝えた気持ち。

 それを聞いた始が、優しく微笑んだ。

「もちろん、知ってます。俺も大好きですよ」

 照れた笑いに、雪子は驚く。

「えっ……!? なにそれ!? 重荷にならないように、隠してたのに!?」

「隠してた……? セックスするたびに俺の事好き好き! って最初から言ってくれてましたよ? ……それに眠る前にも絶対、大好きってキスして寝てたじゃないですか……」

「ひゃっ……!? う、うそ……! きゃー! イク時!? あと、よ……酔っ払って……!? 私……うそぉ!」

「え……? 自覚なしで? それも最高ですけど……可愛い」

 始とのセックスは、絡み合って絶頂の連続で途中から確かに記憶がない。
 そして眠る前は甘いキスをして、お酒も入って……幸せの夢見心地であんまり記憶がない。

「最低じゃない……? ずっと心の奥に隠しておこうって思ってたのに……でも言っちゃってたんだね……」

「最高ですよ、可愛い。俺の腕の中の雪子さんは、普段の強気が嘘みたいに素直で可愛い」

 すべて見透かすように始が、微笑む。

「わ、私めちゃくちゃアホだよ……馬鹿だよぉ」

 言われた雪子は、恥ずかしさで顔も真っ赤で沸騰しそうだ。

「……俺も馬鹿ですよ。本当に情けない男です。でも雪子さんを離したくない」

「あ、貴方が情けないだなんて……そんな事あるわけないじゃない」

 助けに来てくれた時の始と、それに従う大勢の男達。
 あれだけで威厳を感じた。

「馬鹿者なんですよ。財閥の御曹司なんかじゃない自分を見てほしいとか思って、拗ねたガキでした。……そして御曹司でもない俺は、ただの飯も炊けない情けない男だったんです……家を出たら、身分証もない無職の何もできない男でした……御曹司じゃなかったら誰も相手にしませんよ」

「そんな事ない! 貴方のご飯、美味しいわ! 貴方は誰よりも……素敵だよ! 御曹司とか関係ない! 優しくて安らげて……無職だって、私が養ってあげるって思うくらい最高の男だよ!!」

 叫んでいた。
 
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