オカルト屋へようこそ
お話
「これは、私が本当に体験してしまった、作り話ではないお話です。
……当時小学五年生だった私は、その日、友達のあかりちゃんと一緒に帰っていました。あかりちゃんは怖い話が大好きな女の子で、私によくお話を聞かせてくれました。その中でも彼女の1番のお気に入りは『口裂け女』です。口裂け女の特徴は、真っ黒でサラサラの髪の毛に、赤いコートを着ていて、マスクをつけている女の人です。口裂け女は、口を手術で失敗され、口が裂けてしまった人で、道行く人達に『私、綺麗?』と問いかけ、『綺麗です』と答えるとマスクを外して『これでも?』と言い、裂けた口を見せてくると言います。それで『綺麗ではない』『ブサイク』などと言うと怒ってその人を殺してしまいます。助かる方法は『ポマード』と言ったり『見た目も綺麗だけどそれ以上に心も綺麗ですよ』と言うと助かるらしいです。その日は夕方にしては少し暗めで、薄暗い道を2人で歩いていました。『ねぇねぇあかりちゃん、今日さぁ、口裂け女出るかなぁ?』『うーん…どーだろ?出るんじゃないかな?』そう言ってあかりちゃんは傍にあった草を摘んで、結び目を作り始めました。そのときです。『ねぇ……私、綺麗?』後ろから声が聞こえました。私たちが思わず振り返ると、真っ黒でサラサラな髪の毛をなびかせた真っ赤なコートを着た女の人が立っています。『私、綺麗?』同じ言葉を繰り返す女の人に、興奮半分、恐怖半分。ごくりと喉を鳴らし、口を開きます。『き、綺麗、です』私がそう答えると、ふっと笑って口裂け女はマスクを外すと言いました。『これでも?』口は頬まで裂け、血がボタボタと流れ出ています。歯は不揃いに並び、舌は燃えるように真っ赤です。ひっと震える手を押さえつけていると、今度はあかりちゃんが口を開きました。『き、綺麗ですけど、同じくらい…いや、それ以上に心も綺麗です』あかりちゃんがそう言うと、口裂け女はニコッと微笑んで去っていきました。『あかりちゃん…ありがとぉ…!』ボロボロと泣きながらあかりちゃんに抱きつくと、あかりちゃんは微笑んで言いました。『ううん、どういたしまして』そこで私はずっと気になっていた疑問を彼女にぶつけることにしました。『ねぇねぇあかりちゃん、どうしていつもマスクつけてるの?』あかりちゃんは目を見開きました。『あと…その赤いコートも。暑くないの?まだ秋だよ』私の言葉に、あかりちゃんは俯いていた顔を上げて言いました。『ねぇ…私ってさぁ…可愛い?』『もちろん!可愛いに決まってるじゃん!』私が言うと、あかりちゃんはずっとつけていたマスクを外して『これでも?』と微笑みました。その口は…先程の口裂け女と同様に、口が頬まで裂け、血が流れ出していました」
……怖っ!
「どうだったかしら?」
お姉さんに不格好な笑みを返す。
「めちゃくちゃ怖かったです…」
「ふふっ、ぜひ家でも楽しんでね」
お姉さんがパチンと指を鳴らす。
……あれ?
もう家の前…?どーゆーこと?
私、いつの間に家に帰ってきてたっけ?
不思議に思いながらも家の鍵を開けて家に入った。
……当時小学五年生だった私は、その日、友達のあかりちゃんと一緒に帰っていました。あかりちゃんは怖い話が大好きな女の子で、私によくお話を聞かせてくれました。その中でも彼女の1番のお気に入りは『口裂け女』です。口裂け女の特徴は、真っ黒でサラサラの髪の毛に、赤いコートを着ていて、マスクをつけている女の人です。口裂け女は、口を手術で失敗され、口が裂けてしまった人で、道行く人達に『私、綺麗?』と問いかけ、『綺麗です』と答えるとマスクを外して『これでも?』と言い、裂けた口を見せてくると言います。それで『綺麗ではない』『ブサイク』などと言うと怒ってその人を殺してしまいます。助かる方法は『ポマード』と言ったり『見た目も綺麗だけどそれ以上に心も綺麗ですよ』と言うと助かるらしいです。その日は夕方にしては少し暗めで、薄暗い道を2人で歩いていました。『ねぇねぇあかりちゃん、今日さぁ、口裂け女出るかなぁ?』『うーん…どーだろ?出るんじゃないかな?』そう言ってあかりちゃんは傍にあった草を摘んで、結び目を作り始めました。そのときです。『ねぇ……私、綺麗?』後ろから声が聞こえました。私たちが思わず振り返ると、真っ黒でサラサラな髪の毛をなびかせた真っ赤なコートを着た女の人が立っています。『私、綺麗?』同じ言葉を繰り返す女の人に、興奮半分、恐怖半分。ごくりと喉を鳴らし、口を開きます。『き、綺麗、です』私がそう答えると、ふっと笑って口裂け女はマスクを外すと言いました。『これでも?』口は頬まで裂け、血がボタボタと流れ出ています。歯は不揃いに並び、舌は燃えるように真っ赤です。ひっと震える手を押さえつけていると、今度はあかりちゃんが口を開きました。『き、綺麗ですけど、同じくらい…いや、それ以上に心も綺麗です』あかりちゃんがそう言うと、口裂け女はニコッと微笑んで去っていきました。『あかりちゃん…ありがとぉ…!』ボロボロと泣きながらあかりちゃんに抱きつくと、あかりちゃんは微笑んで言いました。『ううん、どういたしまして』そこで私はずっと気になっていた疑問を彼女にぶつけることにしました。『ねぇねぇあかりちゃん、どうしていつもマスクつけてるの?』あかりちゃんは目を見開きました。『あと…その赤いコートも。暑くないの?まだ秋だよ』私の言葉に、あかりちゃんは俯いていた顔を上げて言いました。『ねぇ…私ってさぁ…可愛い?』『もちろん!可愛いに決まってるじゃん!』私が言うと、あかりちゃんはずっとつけていたマスクを外して『これでも?』と微笑みました。その口は…先程の口裂け女と同様に、口が頬まで裂け、血が流れ出していました」
……怖っ!
「どうだったかしら?」
お姉さんに不格好な笑みを返す。
「めちゃくちゃ怖かったです…」
「ふふっ、ぜひ家でも楽しんでね」
お姉さんがパチンと指を鳴らす。
……あれ?
もう家の前…?どーゆーこと?
私、いつの間に家に帰ってきてたっけ?
不思議に思いながらも家の鍵を開けて家に入った。