オカルト屋へようこそ

インタビュー

それから1週間ほど。
私は怖い話を買ったことも忘れて毎日を過ごしていた。
今日は友達も塾でいなくて、1人の帰り道。
時刻は夕方6時半をまわっている。
暗い夜道に1人。
なにか出そうだな〜とオカルト心をくすぐり、カメラを手に帰路を歩く。
なにか出ないかな〜♪
ルンルンで道を歩いていると……。
ポンっと後ろから肩を叩かれた。
「っわ!」
「あらゴメンなさいね」
振り返ると、黒髪のサラサラロングヘアー、真っ赤なコートを着た女の人が立っていた。
後ろには、カメラらしきものを持った人も。
「なにか、ありましたか?」
私はごく自然な態度で彼女に尋ねる。
「少し聞きたいことがあるのだけど…お時間大丈夫かしら?」
「はい、平気ですけど……」
私の質問に、こくりと頷いた女の人は、バッグから四角く切り取られた紙を引っ張り出して。
「私、こういう者よ」
名刺らしきものを受け取り、まじまじと見つめる。
どうやら本物みたい。
『犯罪ジャーナリスト 七瀬柚香 asami新聞社所属』
asami新聞社……って、あの大手テレビの!?
犯罪、ジャーナリスト……。
「最近中学生の自殺が多いじゃない?同じくらいの年代の子にインタビューをしているところなの」
確かに、最近は小学生が誘拐され殺されかけたただとか、中学生がいじめを苦に自殺だとか、動物の大量虐殺などのニュースが出回っている。
犯罪ジャーナリストなら、調査を引き受けるのも頷ける……。
「そうなんですか」
「そんなに時間はとらないわ。そうね…10分ほどで終わるわ」
「わかりました」
こくりと頷き、七瀬さんに連れられ近くの公園に入る。
ベンチに座ると、早速インタビューが始まった。
「では早速ですが、学校でいじめなどの噂を聞いたことはありますか?」
七瀬さんは、マイクを私の方に向けて聞く。
「特に聞きません。私のクラスでは、みんな仲がいいので…」
「他のクラスでは…?」
「わかりませんが、体育祭などではみんな協力し合っていたように見えました」
その他にも色々質問をされて返しているうちに時間が経っていた。
「今日はありがとう!もしかしたらテレビに使わせて貰うかもしれないから親御さんに言っておいてね」
「わかりました!」
「あ、そうだこれ…」
七瀬さんから渡されたのは、asamiメーカーの作ったグミ。
「インタビューのお礼よ。良かったら食べてね」
「ありがとうございます!」
なぁんだ、何も無いじゃん。
つまんないのー。
はぁっとこっそりため息をつき、私は公園を後にした。
「あー良かった、ちゃんとグミを渡せて」
七瀬さんがそう呟いていたのも知らずに…。
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