一匹狼の君は、どうしたら笑うんだろう?
第五話
私が静かに言葉の続きを待っていると「だって」と切り出した。
声量をやや落とした辺り、何やら緊張している様子だ。
「須藤って正直、このクラスから浮いてるじゃん」
「……あ~、まあ。そうかも……ね?」
私が曖昧に答えると、彼女は腕を組んだ。
「不良とか、いつの時代だよって。顔がいいからってアレは無理」
「ちょっと言い過ぎじゃない? 別に須藤が何かしたとか聞かないし」
「え、なに須藤の肩を持つの。噂が物語ってるって。ヤバいよって」
そうだ、これが一般的な彼に対する価値感である。
不良。不真面目。腫れ物扱い。誰も関わろうとしない男子生徒。
あの一件がなければ、私もここで心底同意していたのだろうか。
「そういうんじゃないよ。ただ、私は見た物を信じるタチだから」
「環って真面目だよね。いつか悪い人に黙れされそう~~」
「なにそれ。そんなことありませーん」
軽い言葉の応酬でもって、一旦会話は終了した。
次第に雄介の話は出なくなり、たわいのない話にシフトチェンジ。
ただ、私の脳裏には変わらず彼の笑顔が浮かんでいて。
――ふと、気になった。
彼自身は、現状をどう考えているのだろうか。
昼休みになると、須藤はふらぁっとクラスからいなくなる。
単純に一人が好きなのか、あるいは居心地が悪いのか。
ぱっと見物怖じしない性格に見える。まるで孤独な狼。
でも、同じ人間。彼も彼なりに考えていることがあるはずだ。
子犬の一件もある。いつか、少しだけでも話してみたい。
……でも、やっぱりちょっとだけ怖い。
それにどうやって話しかければ?
(……うう~ん)
――考えに反して、チャンスは案外すぐやってきた。
声量をやや落とした辺り、何やら緊張している様子だ。
「須藤って正直、このクラスから浮いてるじゃん」
「……あ~、まあ。そうかも……ね?」
私が曖昧に答えると、彼女は腕を組んだ。
「不良とか、いつの時代だよって。顔がいいからってアレは無理」
「ちょっと言い過ぎじゃない? 別に須藤が何かしたとか聞かないし」
「え、なに須藤の肩を持つの。噂が物語ってるって。ヤバいよって」
そうだ、これが一般的な彼に対する価値感である。
不良。不真面目。腫れ物扱い。誰も関わろうとしない男子生徒。
あの一件がなければ、私もここで心底同意していたのだろうか。
「そういうんじゃないよ。ただ、私は見た物を信じるタチだから」
「環って真面目だよね。いつか悪い人に黙れされそう~~」
「なにそれ。そんなことありませーん」
軽い言葉の応酬でもって、一旦会話は終了した。
次第に雄介の話は出なくなり、たわいのない話にシフトチェンジ。
ただ、私の脳裏には変わらず彼の笑顔が浮かんでいて。
――ふと、気になった。
彼自身は、現状をどう考えているのだろうか。
昼休みになると、須藤はふらぁっとクラスからいなくなる。
単純に一人が好きなのか、あるいは居心地が悪いのか。
ぱっと見物怖じしない性格に見える。まるで孤独な狼。
でも、同じ人間。彼も彼なりに考えていることがあるはずだ。
子犬の一件もある。いつか、少しだけでも話してみたい。
……でも、やっぱりちょっとだけ怖い。
それにどうやって話しかければ?
(……うう~ん)
――考えに反して、チャンスは案外すぐやってきた。