先輩!

話を変えるように、先輩が映画の話を始めた。

「正直、あれ家で一人で見てたら泣くわ。今日は芽衣の前でかっこ悪いとこ見せられないから我慢したけど」

「先輩の泣き顔見たかったです」

「お前それどころじゃないだろ」

「ですよね」

「でも芽衣の泣き顔グッときた。ハンカチで目の下押さえてんのに、瞳から大粒の涙が次々浮かんで光ってんの綺麗だった」

「鼻水とよだれも光ってませんでした?ハンカチで隠れてました?」

「汚ねえな」


照れ隠しです。

先輩が綺麗なんて言うから。


わたしそんなの言われ慣れてないんです。
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