先輩!
手を繋ぎ、ウインドウショッピングを楽しんでいた。有名な寝具店の前を通りかかった時、先輩がふと思い出したように言った。


「芽衣用のまくら買いたいんだよな」

「わたし用ですか?」

「そう、俺んち泊まったとき用」


先輩の家にわたしのまくら。なんだか嬉しい。


「うちにも先輩専用が欲しいです」

「買おう」

「買いましょう」


店に入り、それぞれの好みや骨格に合うまくらを選ぶ。先輩は寝具にこだわりが強いようで、店員のアドバイスに熱心に耳を傾けていた。


「初デート記念な」


お金を渡そうとする私を遮り、先輩が電子マネーで支払いを済ませてしまった。
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